「詩人久保田穣さんを甦らせる会」に出席して
                        宮前利保子


 久保田穣さんは去る十二月二十一日逝去された。優れた詩人であり教育者だった人は、もうこの世にいない。亡くなって二ヵ月余「久保田さんを甦らせる会への招待」の通知が届いた。茫々の中で呼吸を整えながら綴った筆跡が浮かび強い違和感を覚えた。久保田さんは漸く苦しみから解き放たれたのに又苦渋の渦中へ。私は悶悶と数日過しその夜発起人の方へ電話を入れ心意を語る。胸中には苦しみぬいた久保田さんの表情しか浮かばない。
 青年会館会場へ十分前到着。多勢の人が集まる会場に入る。先づ受付をすませ席を探す。最前列の空席に腰を降ろすと「朗読五分前スタンバイして下さい。」の声。壇上でマイク調節。やがて一分前の声。最初は私の朗読。詩作品「サン・ジュアンの木」―香月泰男に―を読む。作品は第35回壺井繁治賞を受賞した詩集名の作品だ。シベリヤから持ち帰った豆の木の小さな粒、蒔いたら発芽、十年経ち花が咲いた。香月は花の木になろうとしたがなれず、香月の描いた絵の中で小さな豆粒が漆黒の空にきらりと光っている。の詩だ。三人の朗読終了。
 後半は久保田穣作詞・丸山亜季作曲で組曲「スーホの白い馬」全九曲である。この日のためにレッスンを重ねた音楽教育の会の人々五〇余人が壇上に立ち並び、保育士さんたち若者が埋めつくす。ピアノの音が会場に響き渡り一斉に歌い出す。力強い響き透き通る声。洗練された音楽教育の会員の混声の美しさが胸を突く。聞き入る人々をモンゴルの草原ヘと誘い駈け抜けていく。感動に包まれる。
 第二部シンポジウムは「久保田穣さんが遺したもの、私たちが受け継ぐもの」では四人のパネラーに続くフロアーからの十人の発言。次々の発言を聞きながら私の心は動揺「発言すべきか否か。」立派な人柄故そうなる事は解っているが綺麗事で終わりたくない。発言は続いていく。「俺は真実を求め真実を語り生きて来た。宮前は真実を語らないのか。」後方から久保田さんの声。私は突き動かされ手を上げた。「発言すると此所に居られなくなりそうで」と私は話し出すと気持ちが楽になり「発起人の肩書の友人」として発言した。
 出逢いは群馬民主教育研究会。私の分科会は児童文学。常に助言者は木村次郎氏だった。分科会が終わると久保田さんは私の部屋へ来て木村次郎氏と詩論をはじめる。退職後は児童文学創作教室へ四年間東京へ通う。詩も書き始める。童話出版で換乎堂の岡田さんを久保田さんが紹介出版となる。翌年群馬児童文学賞を受賞。詩集出版では栞を書いて貰い、四集までの詩作品選出を依頼した。梅の好きな久保田さんは完熟梅干しを喜んで食べた。
 四月二十四日伺うと「力が入らなくて字が書けないんだよ。」と。文字は一字一字丁寧に書く人、原稿用紙の文字は5Hの鉛筆で書いたように薄い。辛かろう思いを抱いて、帰途へ。七月十六日入院。 十三日程遅れ葉書きが届く。
 肺気腫の肺は網の目の様になり酸素を吸っても留まる所が無い、本当に苦しい病なのです。と聞いていた私は苦渋に満ちた久保田さんに、心から安らかに眠って下さいと言いたいのだ。と終わる。私の言葉を受け取り「私の園の子どもたちは身を乗り出しスーホを歌います。歌い終わってスーホは甦ったよと言います。」と語ってくれた高橋さんに感謝。
※発起人松本美津枝さんルポを参考。


  『久保田穣詩選』500円
  『昭和の子ども 久保田穣の問わずがたり』500円
  『ちょぼくれ71号』1000円
  『夜明け185号』300円


   申し込みはまとめて 0276-74-1219 松本美津枝宛


   基金は新盆の供物として久保田家に届けます。


(会報292号より)



                                                    久保田穣さんを甦らせる会への招待


 すぐれた詩人であり教育者だった久保田穣さんが昨年12月21日に他界されてから、2ヵ月余りになります。
 その間、その死を惜しみ、この時代に言いたいこと書きたいことがまだ山ほどあっただろうと察するにつけても、あらためて久保田さんが遺したものを確かめあい、それをどう受け継いでいくかを話しあう集まりを持ちたい、と切に思うようになりました。
 そこで、次のように「久保田穣さんを甦らせる会」を開きます。どうぞお繰り合わせのうえご出席ください。友人知人にもお知らせいただければありがたく存じます。


日時:2015年4月26日(日)午後1時30分~4時30分  受付開始午後1時

場所:群馬県青少年会館 1階プレイホール
   前橋市荒牧町2番地12 TEL 027-234-1131


第一部 朗読 久保田穣さんの詩から
    歌と話 久保田穣作詞・丸山亜季作曲『スーホの白い馬』から
第二部 シンポジウム  「久保田穣さんが遺したものと私たちが受け継ぐもの」
    パネリストには久保田さんを知る文学・教育関係者を予定し、ご造族にも参加をお願いしています。

    フロアからのさかんな発言で集まりを豊かにしましょう。


当日は平服でおでかけください。資料代二千円をご用意いただければ幸いです。駐車場が比較的狭いので、できるだけ乗り合わせておいでください。

                    呼びかけ人  代表 群馬文学集団 大浦 暁生
                              群馬詩人会議 大塚 史朗
                              全群馬教職員組合 石田 清人
                              全群教教育研究所 松本美津枝
                              全群馬退職教職員の会 斎藤 誠
                              群馬保育問題研究協議会 大野ゆうこ
                              群馬音楽教育の会 渡辺信幸
                              群馬九条の会 高編 浄
                              いなほ保育園 北原 和子
                              桐生・ひまわり保育園 尾花 悦子
                              桐生「ちゃらんぼらん」の会 徳丼百合子

 

(事務局〕松本美津枝方

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